版画ゆうびん

おさのなおこが綴る越前海岸からの版画の便り

2025.05.10

  • 蝶

異国の
花粉を
つけながら

白夜の海を
渡り来る

ためらい
いそぐ
ひざもとに

春のように
舞いおりて

憧れぬいた
季節をめぐり

うすきはおと
しずかに
あわせ

まだ見ぬ
よあけの
まぶしさをみる

皆川 輪 詩集 「木蔭の鳥」より

海をわたる蝶。
このようなモチーフを描くことは、ひとつの挑戦でした。
遠い旅路の末に辿り着くその場所は、自分の思い描いていた未来と、どのように重なるでしょうか。

儚いいのちの放つ青白い光や、一定のリズムで奏でられる、小さな音楽。
そんなものを感じながら小さな版木に向き合いました。
水性木版画ならではの、和紙の上に写しとられた透明感と木目のうつくしさ。
それらもこの画面構成を助けてくれています。