
8月も終わりに近い日曜日。越廼の公民館より、子供達の七夕飾りを浜辺で焼く、どんど焼きの企画があるとお誘いを受けていたので、日没前の浜辺へ子供達を連れてゆきました。
駐車場には消防団がたくさん。どんど焼きにこんなに消防団が来るのか、とちょっと不思議な気持ちはしましたが、到着するや、子供達は浜辺でかき氷をもらったり、キャンドルを灯したり、短冊に願いを書かせてもらったり、しているうちに日が暮れて、笹焼きの時間をを待つのもなかなか良い時間で、それぞれに地区の子供達が夜の浜をとても楽しそうに走り回ったり、砂遊びをしたりのまったりとした夕べ。夏の夜のこんなひととき、なんて素敵なんだろう、と思っているうちに、神主さんが現れ、子供達の託した短冊をたくさんつけた笹の葉に、祝詞をあげてくださり、ドラマチックなほどに炊き上がるどんど焼き。それはそれは、厳かで、なおかつ子供達はのびのびと夜の浜をとても楽しんでいて、ドキドキするような美しい時間。遠くには客船らしき大きな船や漁火がきらめき、夜空には三日月と星たち。ただただ感激していたところ…。おもむろに、「さあ、始まるよ、みんなでカウントダウンしよう!」という北村さんの声。なになに?と、不思議な気持ちで大人も子供も、カウントダウン。「…ゼロー!」の声の瞬間に、始まったではないですか。目の前の海の上で花火大会が。
お誘いのチラシには、「夏のどんど焼き、かき氷、子供花火コーナー」としか書かれていなかったので、きっと、浜辺で、子供達に手持ち花火が配られて、ささやかな花火の時間があるのかな、くらいに思っていたので、30分にもわたる本格的な花火大会には度肝を抜かれ、そのサプライズに感激の涙が止まりませんでした。コロナのため、人を集めての花火大会開催は叶わない中で、地域の方たちが、粋な計らいでこっそりと企画を進めていらしたのが後から解り。まあ、なんとこの地域の方たちの地元愛の強いこと、子供達を喜ばせたいという想いを持った素敵な大人たちがいる、大きな暖かい心意気にふれ、感謝の気持ちが溢れました。
越廼は限界集落も点在するような過疎地の小さな村。買い物さえままならなくて、暮らしは便利とはいえず。そんな中、市街地へ移動してしまう若い人たちが多いというのも抗うことのできない現実ですが、ここで育った人たちの、地元愛の深さを感じさせてもらえるような事があると、とても嬉しくなります。この地に、爆発的に人が増え、スーパーが出来、便利になってほしいと願うことは本当じゃないんだと思う。もちろん、不便なのは確かに少し苦しいし、スーパーの一つもできて欲しい気持ちもあるけれど、この、越前海岸という、とてもユニークな美しい地域が、そのユニークさを輝かせて存続してゆくのがベストなんだと思います。そのために自分ができること、何かあるだろうか。答えはすぐに出ないけれど、私の中の、この地への想いは、半年前のそれとは全く変わってきているのは確かです。