制作に寄せて

海辺に暮らして

2019年末に、東京都の郊外から越前海岸へ移住しました。

日々の暮らしで出会う、当たり前の海辺の風景。

太古の面影をそのままに残す岩礁や、ヤブニッケイの原生林を見ていると、永遠だと思いがちなこの風景も、永遠ではないことを知りました。

長い時間をかけて読み深めている詩人の世界観や、往復書簡を交わしている大切な友人との言葉を、この風景の中で今一度、創作に織り込んで、版画作品と向き合っています。

版画を一枚手紙に添えて

版画のモチーフは、変哲のない日用品、身近な動植物、空想の中に生きている天使や架空の生き物たち。

あらゆるものが作品として生まれ変わり、今、ここにいる私の目の前の風景と共に、誰かの元へ届きますように。

大切な方へお便りを出すような心地で、一枚一枚版画を制作しています。

おさのなおこ略歴

神奈川県横浜市生まれ
1998年-2000年 創形美術学校にて版画を専攻

2000年-2006年 山梨県北杜市の創作工房「人力宇宙船」にて、早川薫太郎氏に師事し、制作助手をしながら木工・建築・農の基礎を学ぶ

2007年「版画工房Nao」を設立
2007年-2019年 東京都・神奈川県を中心に制作活動を行う

2019年 工房名を「版画ゆうびん舎」に変更
同年 東京都町田市より福井県福井市の越前海岸エリアへ移住

2019年-2022年 越廼(こしの)・国見(くにみ)地区の地域おこし協力隊として活動
越前海岸の古民家「はりいしゃ」に、アーティストを誘致するプロジェクト等を展開

2022年-現在「はりいしゃ」にて個展、グループ展(毎年)
はりいしゃレジデンシー(はりいしゃアートプロジェクトから改名)事業を継続
現在福井県福井市在住