版画ゆうびん

おさのなおこが綴る越前海岸からの版画の便り

2025.10.13

宵の森

宵の森

 宵の森

あるじの
ほねおり
みつめる
ねいき

青い夜に
くるまって

山のむこうの
おはやしへ
徹夜おどりに
いくという

紅い鼻緒の
下駄鳴らし
くるりくるり
舞うそうだ

すれば
海も
いっそう光り

夕陽を
浮かべ
呼ぶらしい

凪のような
たそがれを

皆川 輪
詩集「木蔭の鳥」より

秋の眠れない夜に
鹿の声が聞こえてくる

そんな時は
青く冷たい
夜の森の中の獣たちの
目にうつる世界を
自分も少し
見つめられる ような気になったりする